天然酵母パンが大好きです。市販のイーストパンにはない歯ごたえと味わいがたまりません。
中でも楽健寺酵母のパンに出会ってその美味しさと発酵の楽しさと手軽さにはまりました。
今日は楽健寺酵母の元たね作りとその後の育て方をお話しします。
楽健寺酵母パンについて
楽健寺酵母パンってちょっと変わった名前ですよね。私も最初、お寺みたいなパン屋さんなのか、パン屋さんをやってるお寺なのか???でした。
楽健寺パンは奈良県にある真言宗東光寺で現在住職をされておられる山内 宥厳(やまのうち ゆうげん)さんによって40年ほど前に考案されました。
若い頃からひどい喘息に悩み、玄米や漢方、アーユルヴェーダなど東洋医学を学ぶ中で酵素の素晴らしい力に気づき、それを利用した体に良いパンを考案されたそうです。
楽健寺酵母パンの5つの魅力
今までいろんな天然酵母パンを作ってみました。市販の種ではホシノ酵母、白神酵母、自家製ではレーズンやリンゴなど季節の果物で。
それぞれ楽しくて美味しかったんですけど、よほど生活のリズムにうまく組み込まないと、よいしょ、パンを作ろうか、とイベント的になってしまって、なかなか毎日気楽に焼くという風にはなりませんでした。
買ってこなければできない、ということにちょっと抗いたい性格で、何もないところから作ることに憧れるんです。なので白神酵母なんかは本当に簡単ですぐ膨らみ作りやすいんですが、あまり使いたくない。
自家製酵母なら気持ちは満足するんですけど、反面パンを焼く何日も前から準備しないといけない。いきなり焼きたい!と思ってもちょっと無理。
そんなわがままな私を受け止めてくれたのがこの楽健寺酵母です。一度作ってしまえば使った後に減った分のご飯や粉、人参やリンゴなどをかき混ぜて置くだけで、いつでも使いたい時使えるんです。まさに私の求めていた通りのパン種です。
おまけに作っている時の香りがすごくいいんです。酵母をかき混ぜているとフルーツのような花のような香りが鼻に上ってきます。パンにもそんな良い香りが残るようで、パンを食べた友達がいい匂いがして大好きと言ってくれました。
酵母をかき混ぜていると香りで状態の良し悪しがわかります。状態が良い時は本当にいつまでもいつまでもかいでいたいような良い香りです。
ご飯がたくさん入っているせいかとてもしっとりドッシリしたパンで和風のおかずにもよく合います。パン嫌いの男性でも気に入ってくれると思います。
添加物などなくゆっくり時間をかけて完熟した発酵食品なので当然体にも良いです。
味も良くて使いやすく、酵母を育てている楽しさも味わえますので本当におすすめの酵母なんです。
パン種を作る
材料
りんご 100g
にんじん 100g
長いも 100g
ごはん 100g
砂糖 大3
自然塩 少々
スターター(*)
強力粉 適量
水 ミキサーを使う時のみ
*スターター
・楽健寺の元種の場合 150g
・ 市販のドライ天然酵母のパン種の場合 1g
・自家製酵母や酵素ジュース 適量
これらのうちのどれかを使ってみてください。自然界の酵母だけだと時間がかかったり、他の雑菌に負けて腐敗してしまうことがあります。そこで発酵がスムーズに進むように既に良質の発酵の進んだスターターを使って発酵を促します。
材料もスターターも一応分量を書きましたがそれほど厳密ではありません。多少多くても少なくても
大丈夫です。たくさん作って方が発酵が安定して作りやすいです。
砂糖はお好みですが、私はきび砂糖かてんさい糖を使っています。黒砂糖は少しクセが強すぎるので味と香りが違ってしまいます。
●農薬について
楽健寺酵母パンはご飯やらりんごやらニンジンやらがたっぷり入る酵母です。エキスを取って使用する他の酵母に比べ材料を濾さずにそのまま全部入れます。ですので混ぜてすぐはそれぞれの野菜の匂いがして特別いい匂いというものでもありません。ある方は発酵途中に堆肥の匂いがするとおっしゃいました。
素材丸ごと食べる酵母ですのでできれば素材の良いものを使いたいと思っています。素朴な土の匂いが日に日に熟成され、やがてまろやかでお花のような良い香りに変わっていきます。
なるべく無農薬、低農薬が望ましいですが、ない場合はよく水洗いして私は重曹水に数分つけてから使用しています。
作り方
1.材料をよく洗う。
2.皮付きのままおろし金ですりおろす。皮に酵素が多いのでできるだけむきません。
3.洗って熱湯消毒した広口ビンにいれ、菜ばしでよくかき混ぜる。発酵すると2倍になるのでびんの半分まで。
4.息ができないのでぴったりフタはしない。うちはパッキングをぬいてフタをしています。
5.混ぜた種が2倍に膨らみ、その後少し高さが下がって落ち着いた時が使い頃です。写真は2倍に膨らんだところ
季節によって発酵にかかる時間が違います。大体の目安ですがこんな感じです。
夏…一晩〜半日
春秋…1日
冬…2〜3日
パン種の手入れ
パン種が出来たら、次はいよいよパン作りです。
パンの作り方は次回に詳しく説明しますが今日は使った後の継ぎ足しと保存について。
使った後
作ったパン種は4,5日ほどはそのまま使えます。
使った後、目分量で減った分の2/3のご飯と1/3の小麦粉を入れて箸でぐるぐるかき混ぜます。味噌より少し固くなるよう水を加えます。そうすると翌日にはまたブクブクと元気よく発酵しています。
基本、使ったらご飯と小麦粉を入れかき混ぜることを繰り返します。1日1回かき混ぜて空気を入れてやるのがよいそうですが、4,5日ほどは大丈夫です。
発酵が弱まったら
ずっと続けていると発酵力が弱まってきますので、元気がなくなったなぁと思ったら、リンゴ、ニンジン、山芋、砂糖など種おこしの時に使った材料を適当にすって入れます。
うちは5回ほどご飯と小麦粉を入れたら、次は上のような物を入れて発酵力を強くするようにしています。全部入れてもいいし、ニンジンしかなかったらそれでもかまいません。うちは山芋があることが少ないので滅多に入れません。
こうやって継ぎ足しを繰り返して行くと、最初はニンジンなりリンゴなりな匂いがしていたものが混ざり合って、どんどん良い匂いになっていきます。
うまく発酵がいっているときは、フルーティで少しツンと発酵したお酒のような香り、これが放っておくとアルコール臭が強くなり、もっと放っておくとセメダインのような刺激臭になります。
一度楽健寺酵母のパン種を起こして、定期的に焼いて2.3日に1回かき混ぜ続けて入れば、このパン種は本当に強くて元気です。ちょっとやそっとじゃへこたれません。
色が変わったら
ある夏旅行やら何やらで2ヶ月近く冷蔵庫に入れっぱなしで触りませんでしたが、なんと生きていました!
色が変わっていたら表面から1、2cm紫色に黒ずむところをごっそり取って捨てます。その後基本の材料を多めに入れてよくかき混ぜ、しばらく常温で毎日かき混ぜるとちゃんと元気になってくれました。
もし生きているかもうだめかわからなかったら色が変わったところをごっそり捨てて、上の方法でしばらく様子を見てください。暖かい季節はそのまま冬ならこたつに入れて4,5日置きます。意外に強くて息を吹き返してくれるかも。全く動かないようなら残念ながらごめんなさいです。土にでも返してあげてください。
●普段は常温保存ですが、暑い季節は発酵が進みすぎるため私は冷蔵庫に保存しています。焼く前日に常温に出してちょっとエサ(砂糖やニンジン)をあげて元気をつけてから使うようにしています。
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流しの前において時々使い毎日眺めていると、元気がないなぁ、そろそろエサだなあとわかってきます。
そうなると入れてご飯を欲しがる子供のようで、とってもかわいく楽しいですよ♪
それでは次はパンを作ります。