自分の好きな絵本を並べてみると、どうやら小さな本に惹かれるようです。手のひらにストンと収まる小さなサイズで、でもかっちりと四角く存在感があって、小さいけれどキラリと光を放っているような、そんな装丁の本が好きです。今日選んだ本もそんな小さな本です。
この本はまさにジャケ買いです。本屋さんで見つけてあまリの可愛さに手にとりました。黒に近い深い翠の地に薄緑のツナギを着た黄色い髪の男の子、そして赤いライオン。男の子は赤いライオンのしっぽをつかんで歩いています。本を開くと中にもキュートなライオンがいっぱい飛び跳ねていて、この本が人気があるのもうなづけます。
立派な画集を眺める習慣のある人がどれくらいいるんでしょう。美術館へ足を運ぶことも少ない日常を送っています。けれど私たちの周りにはこんなに美しい絵本がたくさん!世界中の画家が描いた素敵な絵をいつでも見ることができるんです。これも絵本の大きな魅力。そうやって表紙に惹かれて手に取った本ですが内容も負けず劣らず素敵でした。
ラチは世界中でいちぼん弱虫な男の子。犬は怖いし暗い部屋にも入れません。臆病で友達にも相手にされず、いつも泣いてばかりいます。そんなラチが憧れているのは絵本の中の強そうなライオン。こんなライオンがそばにいてくれたら、、、と思うラチの側に、ある日小さな赤いらいおんが現れます。
ちっぽけで全然強そうには見えないらいおんだけれど実は、、、、らいおんの出現でラチは少しずつ強くなっていきます。そしてある日、友だちを助けるためにいじめっ子を追いかけるまでに成長したラチ、「こわくなんかないぞ。ぼくには、らいおんがついているんだから!」、、、、、
人が正しく成長するには、優しく寄り添ってくれ、励ましてくれ、大丈夫と言い続けてくれる、、、そんな存在が必要なんですね。温かく見守り続けてくれる存在を得て、小さな勇気と成功体験を積み重ねながら子どもは自信をつけていきます。
自分を振り返ってどれだけ子どもに寄り添えてきたかというと、あらまー全然寄り添えていません。頼まれてもいないのに余計なおせっかい、手を出しすぎ。かと思えば肝心なところを見落としていたり、失敗ばかりです。
今回改めてこの本を読んで思いました。もしかしたら、何もしなくていい、何も言わなくていいのかもと。子どもが振り向いた時そこにいる、自分を見る温かい目がある、それだけで子どもは自分で進んでいけるのかもしれません。
そして少しずつ少しずつ子どもとの距離を離して、ある日ふともう大丈夫と消える時がやってくるのかもしれません。自転車の荷台を支える手を離すように。
ラチとらいおんのエンドはとてもかっこいいのです。あっさりしてて、清々しくて、粋で本当にクール! ジーンと胸に温かいものを残してらいおんは去っていきます。
わたしももう忘れてしまっているだけで、そんな愛にあふれるまなざしでずっと守られ育てられてきたんでしょうね、今になって思います。
今度はわたしの番ですね。こうやって次の世代へ次の世代へと愛をつないで子どもは育っていくんですね。
私もきちんと愛のバトンを渡して、あとはカッコよくクールに去っていきたいものです。
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